FP市役所

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マンション建替の議決権割合と市役所のお仕事

みなさんこんにちは、FP 市役所です。

お仕事お疲れ様です。 FP試験の勉強、はかどってますか?

今回は、「マンション建て替え決議の割合緩和と市役所の仕事に与える影響」についてお話していきます。

 

 

自治体におけるマンションの老朽化問題

みなさんの働く自治体ではマンションはどれぐらい建っていますか。日本全国の住宅の中でマンションの割合は10%以上ということです。どれだけ郊外の自治体でも、市町村の中でも市単位であれば必ずいくつかのマンションはあるかと思います。

マンションについて最近言われる問題として「老朽化」が挙げられます。人口増加による住宅不足の時に建てられたマンションが築数十年経ち、さらに、そこに住んでいる人たちも年齢が高齢化していくという二重の老朽化が進んでいるそうです。

出生率が低くなっていく日本ですから、新しい住民に入れ替わることも少なく、高齢化がどんどん進んでいきます。マンションは管理が重要ですが、高齢者が多いと健全で効果的な自主管理がなされない傾向にあります。また、人口が減少したら空き部屋も増え管理費が徴収できなくなり、日々のメンテナンスに回せる予算が無くなり、計画的な大規模改修も進まずさらに老朽化が進むという悪循環に陥ってしまうマンションもあります。

このように、市内にある老朽化マンション問題をどうにかしなければならないのが、基礎的自治体である市役所です。我々の出番です。住まいに関連する部署があったり都市計画課が担当したりする自治体もあるかと思います。しかし、マンションは区分所有の不動産であり、自治体が積極的にアプローチするのが難しい問題ではあるかと思います。やはり、健全にマンション運営がなされ、適切なタイミングで自発的に建て替えられるというのが理想の姿ではないでしょうか。



区分所有法に関するFP試験問題

そんなマンションの建て替えについて、どのような手続きが必要かFP試験で出題されます。具体的には不動産分野の区分所有法に関する問題です。それではここで例題を解いてみましょう。

 

区分所有建物の建て替え決議は集会において区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数による必要があり、この区分所有者および議決権の定数については規約で減ずることはできない。

 

 

正解はマルです。

建て替えの決議というのはマンションにおける決議の中でも最重要なものですから、5分の4の人が合意しなければならないという最もハードルが高くなっています。これを規約で定めて下げる、ということはできません。

ちなみにこの5分の4について、私は語呂合わせで「四の五の言わずに建て替えよう」と覚えていました。

 

マンション建て替えのまちづくりへの影響

このようなマンション老朽化について、国としても深刻に考え、この建て替えの議決割合が見直される方向です。耐震性に問題があったり火災の恐れがあったりする場合など、5分の4ではなく4分の3の議決で建て替えや取り壊しが可能とすることになり、マンションのリニューアルが促進されやすくなる法改正が行われる見込みです。この改正がされると、マンションの建て替えが少し促進されてくるかもしれません。

昔建てられたマンションが建て替えられると、街並みも変わってきます。最近はマンションを建て替える時、その費用を捻出するため、部屋数を増やして分譲して建て替え費用に充当することで、元の区分所有者の自己負担を抑えることができます。入居率がいい場合に限りますが、これは人口増につながります。

また、建て替えるマンションの路面に面する部分つまり一階フロアに店舗を入居させる場合もあります。例えば立地がいいマンションでしたらその一階にコンビニができれば便利に思う人が多いと思いますし、保育所や学童クラブができるパターンも増えています。また大規模マンションだとその一階部分に、集会場や出張所のような公共施設を併設することもできますね。

区分所有法における建て替え決議割合が緩和されることが、まちづくりへの影響がある、ということです。民間施設であるマンションの建て替えであっても、市役所にとって他人事ではないですね。まあ市役所にとってみれば自分の市で起こっていることはすべて自分ごとです。市役所職員ならみんなそう考えてほしいものです。



市役所職員ならなんでも自分事へ

今回は、FP試験に出題される区分所有法の議決権割合問題から、市役所職員としてまち作りに与える影響について考えてみました。

普通のFP試験受験生にとっては単に割合の変更と解釈し、数字を覚えるだけかもしれませんが、市役所職員FP受験生としてはその割合の変更が及ぼすまちづくりの影響にまで考えを至らせで欲しいと思います。そうすると勉強がもっと楽しくなって、さらに仕事はもっともっと楽しくなっていくはずです。

それではみなさん、とっても楽しい勉強を頑張ってください。